カテゴリ:不動産売却コラム / 投稿日付:2024/08/06 17:29
前回、具体的な売却戦略をご紹介しました。
この戦略を組み立てる要素は、先ほど説明した「3つの価格」だけではないことにお気づきになりましたでしょうか。
そうです。
「売る戦略」とは、設定した「3つの価格」に「スケジュール」を組み込むことです。
「1円でも高く売りたい」。
その気持ちは、売主さんとなる方全員がお持ちの感情です。
けれども、売主さんとして「売れたらいいな」という価格があっても、そこに買主=市場がないのであれば売買は成立しません。
また、いくら考えに考えて査定額を決めても、それはあくまで机上の空論。
「査定は参考。市場に出してみないとわからない」というのが正しいところです。
これは、不動産会社としては非常識な意見かと思います。
「事例を参考にすれば正しい査定になるのではないか」という意見もあるでしょう。
しかしその「成約事例」はどのように出てきたものでしょう。
それは「過去にこの値段で売れた」という「事例の事例」です。
前回ご紹介したAさんとNさんの2人は、過去の成約価格以上の値段で売却されました。
その結果、AさんとNさんのマンションでは、新たにAさん、Nさんの価格が新しい「売れた実績」=「成約事例」となっていくのです。
これは魚釣りに似ています。
魚は毎日同じところにはいません。
天候、気温、潮の流れといったいろいろな要因によって場所を変えます。
「昨日はここで釣れた」と、過去の事例だけを頼りに同じ場所に行っても釣れません。
状況が変化する以上、同じ場所で同じ仕掛けをしても釣れません。
だからこそ、「昨日はこれで釣れた」という情報をもとに、限られた時間の中でそれまでの知識や経験、すなわち「知恵」をもとに、深さや仕掛け、エサを変えながら釣っていくのです。
そして、釣れたら「ここで釣れた」という「新しい事例が誕生」するのです。
自宅を売る時も同じです。
買主さんは同じ場所にはいません。
また、景気や世の中の雰囲気など、状況は常に変化します。
昨日この価格で売れたから、今日もこの価格で売れるとは限らないのです。
だから、3つの価格を、売却するために限られた時間の中でスケジュール設定するのです。
少しでも好条件で売却するには、市場の反応を見ながら値段を調整していくことがきわめて重要なのです。
そして、その市場の反応を見きわめるために必要なのが「3つの価格」と「スケジュール」なのです。
「○○○○万円で△ヶ月売って、買主さんが現れなければ□ヶ月後に××××万円まで値段を下げる」と設定し、市場の需要を探っていくのです。
こういう戦略で売っていくことができれば、いざ売れたときに「もしかしたらもっと高く売れたかもしれない」と後悔は生じないでしょう。
逆に「どんどん値段を下げられたらどうしよう。どこまで下げるのだろう。いつごろ売れるのか」という不安もありません。
つまり、自宅売却の戦略を組み立てるということは、「売りたい価格」から「売ることができる価格」の間で「売れる価格と時間を決めて探っていく」という作業なのです。
【渋谷区 世田谷区】不動産の売却・買取・査定なら、笹塚・日立不動産